メカニカルシールとは
メカニカルシールとは、密封すべき液で潤滑作用をしながら摺動面に液膜を形成し密封する装置です。 摺動面には開こうとする力(漏れを意味する)と流体圧+スプリング圧による閉じようとする力(→方向)が存在します。その矛盾した両条件のバランスを維持しながら軸封しています。
水(市水、工業用水等)などの汚れがなく潤滑に富む流体では、長期的に液膜の形成が維持されます。然し、潤滑性に乏しい流体の場合は、シールの発熱でドライ運転になりやすくなります。混合液においては、熱や化学変化などの影響を受け、濃縮、結晶、重合と進み固形物が析出し摺動面に噛み込んだり、スプリングに固着したり、シール機能を損うことが有ります。
環境コントロール
その阻害要因を取り除くことが重要で、メカニカルシールの信頼性を高め寿命を長くするためには、流体 の特性や使用条件(圧力・速度・温度)に合った冷却加温・潤滑・洗浄が必要となります。フラッシング・クエンチングの手法を用いて、シール部の最適な環境づくり(環境コントロール)を施します。
取付およびセッティング手順
回転型メカニカルシール
取付手順が多い。軸上にて各部品を組立てるために(測定→ケガキ→組立)、煩雑でミスを起こすことが多い。よって、熟練者の技量が頼りとなる。
カードリッジタイプ(静止型メカニカルシール)
カートリッジシール(組立完了型)は、全ての部品が組込まれたシールのため簡単に取付られる。 取付精度が外部からモニターできるので安心確実。
メカニカルシールの用途
気体、液体における回転機器の軸封に使用可能です。
石油精製、化学工業、製紙工業、食品工業、半導体工業などの生産工場、下水道施設、ビル管理などの分野で実績を積み、高い信頼性を得ています。
弊社取り扱いメカニカルシールの優位性
モジュラー設計
静止型、バランスタイプ、カートリッジを基本設計とし部品に共有性を持たせた互換性のあるシール。
- シール機能が自由簡単に変換できる。
- 消耗部品を共通化 ・・・ 僅かな在庫品数で対応可能、在庫金額の削減。
- 即納体制の確立(※軸径100以下)
カートリッジ設計
組込み完了型
摺動材、グランド、スリーブなど全ての必要部品が組込まれた一体型のシール。
調整完了型
摺動面の調整、同芯度、計測やケガキは一切必要なく、取付ミスが起きにくい。
静止型設計
スプリングが固定環内部に位置し、アライメント調整後はスプリングの振れがないため
- 摺動面のバタつき、破壊的なバイブレーションが起こらない。
- スプリングの前後運動が起こらない ・・・・ スプリングの金属疲労なし。
- Oリングの微小運動(フレッティング運動)が起こらない ・・・ 軸スリーブの磨耗なし。
- スプリングは一切接液しない ・・・・ スラリー、スラッジを始め、殆どの液体に使用可能。
スタイル777SW
ダブルシール
サイズ:Φ25~Φ100
環境コントロール(フェイルセーフ設計)
クエンチング(バリア液) | |
---|---|
セーフティシール | ボックス圧 < 流入圧 |
タンデムシール | ボックス圧 > 流入圧 |
スタンバイシール | ボックス圧 = 流入圧 |
スタイル770FQ
シングルシール
サイズ:Φ25~Φ60
環境コントロール
フラッシング |
---|
クエンチング(外部へ流出) |
スタイル770F
シングルシール
サイズ:Φ42、Φ48、Φ65~Φ100
環境コントロール:フラッシング
スタイル770(L)
シングルシール
サイズ
770 | Φ25~Φ100 |
770L | Φ25~Φ35 |
770Lメンテナンスコスト(改造加工省略)の低減
スタイル800
シングルシール
サイズ:Φ25~Φ35
グランドパッキン口8タイプへの取付が容易
メンテナンスコスト(改造加工省略)の低減
スタイル85(二つ割りシール)
シングルシール
サイズ:Φ43~Φ120
完全な二つ割りカートリッジシール
摺動面の軸に対するアライメントが自動調整。
装着前に加圧リークテストができるスプリットシール。
メカニカルシールの選定手順
1.流体の液体にフィットする
2.シールスタイルを選定
770・770L・800 | 冷却水,冷水,温水など、自己潤滑性に富む流体に |
---|---|
770FQ・770F | 汚水など結晶、固形、固着化の傾向があり、共液フラッシング・外部フラッシングを必要とする流体に |
777SO | 真空、ガス化しやすくドライ傾向の流体に |
777SW | 真空、結晶、固形、固着、積層化、高粘度の流体に |
3.0リングの材質を選定
御客様の使用実績も重要な選択要素です。
一般 | FKM(バイトン) |
---|---|
アルカリ系 | EPR(エチレンプロピレン) |
耐薬品 | パーフロ(フッ素ゴムエコーパーフロ) |
カルレッツ(米国デュポン社) | |
テフロン(フッ素樹脂) |
4.ガスケットの材質を選定
一般 | ノンアスベストバルカーNO.6501 |
---|---|
耐薬品 | テフロン(フッ素樹脂) |
5.摺動材の組合せ
SIC/SIC | 標準品に採用、研磨性の微粉含む流体にも強い |
---|---|
SIC/CA | 温水など高温、潤滑性に欠ける流体 |
摺動材NSタイプ(共通) 高温用(130℃)、ブライン用 |
6.環境コントロール
フラッシングの種類
フラッシング液(ポンプ内に流入)の目的と要領
流入圧力 | ||||
目的 | 共液 | 放熱 | ボックス内の流れによる放熱効果 | ボックス圧<流入圧 |
洗浄 | ボックス内のスケール等の滞留防止 | |||
外液 | 冷却 | 的確な冷却水の温度と流量にて冷却効果 | ||
洗浄 | ボックス内のスケール等の滞留防止と洗浄効果 | |||
潤滑 | ドライ運転防止。スケール等の摺動面への 噛み込み防止 | |||
流入仕様 | 液質:ポンプ内液に悪影響を及ぼさない流体 | |||
注意点 | 1.流入口はシャフト回転と同一方向の流れ(追従)になる位置に接続して下さい。 | |||
2.クエンチエング液流入がある場合はその接続位置にも考慮下さい。 | ||||
3.狭い配管スペースが多く、管継手、配管接続が可能かを確認下さい。 |
クエンチング液(シールのOUT側に流入)の目的と要領
流入圧力 | |||
目的 | 冷却 | 摺動面への冷却効果、温まると固まってしまう流体に | ボックス圧>流入圧 |
加温 | 大気に触れると結晶してしまう流体に | ボックス圧=流入圧 | |
洗浄 | 温度変化によりガス化する流体に | ||
潤滑 | 粘り気、潤滑に乏しい流体(高粘度、スラリー)に | ボックス圧<流入圧 | |
重合する、摺動面に付着すると積層する流体に | |||
研磨性の粒子を含む流体(摺動面への噛み込み防止)に | |||
流入仕様 | 外液 流量 :1.5~2L/min・・・放流式、循環式 | ||
注意点 | 1.バルブは流出側に取付け流量調整はOUT絞りにして下さい。 | ||
2.流出側の配管はシールより高位まで立ち上げて、出口は大気に開放して下さい。 | |||
3.狭い配管スペースが多く、管継手、配管接続が可能かを確認下さい。 |
機械器具設置工事、ポンプ・回転機器修理、メカニカルシール販売・取付改造なら
〒216-0003 神奈川県川崎市宮前区有馬5-18-22 有馬マンション1F
TEL:044-863-9090 FAX:044-863-9091
© Copyright 2024 SEALTOP CO., LTD. All Rights Reserved.
WEB制作 LUVEX Inc.